「あんた、プロやろ」
ちょっとカチンとくる言葉です。
たまにホームセンター時代に客から言われることがあったのですが、ホームセンターは取り扱い用品が多い(約5万~10万品目)だけにすべてを知っているわけではないんですね。
プロの定義も難しいですよね。
professional を辞書で引くと「職業にふさわしい」「職業上の」「専門職の」とかいろいろ出てきます。
日本ではプロと言えばそれだけでなくプロ野球選手に代表とされるように一芸に秀でた、ある分野を極めた人のことを言うと思います。
いまさら言い訳になりますが(笑)、ホームセンターの店員は専門的と言う意味でのプロフェッショナルではありません。
例えば工具や金物を中心とするいわゆるDIY部門の商品でも大工、型枠大工、配管工、塗装工、左官工、板金工、鉄筋工、水道屋、設備屋、電気工、工場作業者、溶接工、荷役従事者などありとあらゆるガテン系の仕事用の用品を売っています。
これらの仕事分野の基本は知っていますが、細かい部分になるとわからないことは多いです。
アマチュアの人が疑問に持つようなことはほぼ答えることはできますが、実際に上記に記した職種で働いてみたり実際に材料や工具を使ってみないとわからないことも多いのです。
ホームセンターは部門の移動も多いので一人の人間が工具だけでなく家具を売ったりペットを売ったり花や園芸用品を売ったりすることもあります。
あまり細かすぎる専門的な知識より、どんな部門も対応できる幅広い知識の方がつぶしが効きます。
専門店なら専門知識が必要なのとは違うところです。
私は常に一人の客に100点よりもすべてのお客に70点をモットーに仕事をしていました。
感動的な接客よりクレームにならない接客ですね。
それに少ない人数で店を運営していかないといけないので、一人の客に時間をかけるよりは短い時間でより多くのお客を相手にしないといけません。
そうしないとクレームが発生してしまします。
そういう面で私はホームセンターで総合的に素早くモノを売るプロを自覚していました。
最近でこそ職人向けのプロ向けをうたったホームセンターも増えてきていますが、品揃えはメーカーや問屋さんがノウハウを持っているので良いのですが、従業員教育となるとどこも苦労していると思います。
専門的な意味でのプロをホームセンターに求めるのはなかなか厳しいものがあります。
概して日本人は求めるレベルが高いので
「あんた、プロやろ」
とプロを求めてくる人も一定割合でいます。
「じゃあ、てめえは何のプロやねん? そういうお前はプロなんか?」
と聞き返したくなります。
日本人はプロフェッショナルが好きなんでしょうね。
NHKでも「プロフェッショナル仕事の流儀」なんてのがあります。
「カンブリア宮殿」や「ガイアの夜明け」なんていう番組も同類です。
これらを見てもわかるように、人は皆、汗と涙と努力でなにか一つの分野を極めないといけないような風潮があります。
人間国宝の制度なんてその最たるものですね。
例えば職人歴40年というと「すごい!」と尊敬されますが、転職40回というと「なんだこいつは!?」となります。
しかしある意味、40回採用を勝ち取る人の方が職人歴40年よりすごいと思います。
私の中では人間国宝レベルです。
しかし日本人の「プロ大好き」が、転職やセミリタイアに対して厳しい風潮につながるんでしょうね。
私は4回は転職しているし、バイトもいろいろ経験しています。
こういう人間はプロの道から脱落した人間なんでしょうね。(笑)
追記:
ホームセンターの店員にはやさしくしてあげてくださいね。それと多少は何を質問するか頭の中で整理してからお店に行ってくださいね。ネットで調べればすぐわかることも多いです。ありがたいのはネットで下調べしてプリントアウトしたものを持ってきてこれをと同じようなモノを探しているんですけどというタイプの人です。神様です。
あとカーテンやら網戸やらサイズのあるものはサイズを測ってきてからきてくださいね。よく普通のサイズと言われますが、普通サイズはいっぱいありますので。(笑)
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