コロナの外出自粛中に写真整理をしていて、過去の東北出張旅行の写真が出てきました。今から13年前の2007年、東日本大震災発生の4年前のことです。
私は30歳から46歳までホームセンターの仕事をしてたんですが、その時だけ当時の会社の本業である建材部門の仕事をしていました。
そこでは国産木材を力を入れて販売するということで、仕入れ先となりうる東北各地の製材所を4泊5日で一人で下見に行ってきました。
以下はその時の写真です。
目次
山から木を伐りだし
木は山でこんなふうに生えていますが、一般に林業というとそれを伐り出す仕事と考えられています。でもそのあとがけっこうあるんですね。
並べられた原木。切り出された木は通常原木市場に運ばれ競りにかけられます。購入するのは主に製材業者さんですね。
この写真をどこで撮ったのかは忘れましたが、東北地方にはいろいろなブランド木材があります。青森ヒバ、秋田杉、気仙杉、栗駒杉、南部栗、南部赤松など木の種類、産地で名前が付けられています。
まあ米沢牛や前沢牛、三元豚など肉みたいなものです。
こちらは青森の十和田あたりだったでしょうか、八甲田山を望む製材所。製材前の原木が山積みされています。
製材所でまずは大きめにカット
製材所で原木は製品に合わせていろいろな断面でカットされていきます。この時実際の寸法より大きめにカットします。これは自動送り機構もついて、かなり大型のマシーンですね。
これも原木が製材されるところです。
そして乾燥機へ
おおよそ製品の形に加工された材木は乾燥室に入ります。かなり大型の乾燥室ですね。
切ったばかりの原木は生(なま)と言って水分をたっぷり含んでおり、そのまま使うとカビが生えたり、乾燥するにしたがって大きく反ったり表面が割れてくるので使用できません。
よって最近は重油をたいて人工的に乾燥させることが多いです。燃料代もバカになりません。
これは防腐加工といってシロアリに木が食べられないよう薬剤を木材に注入する釜かと思います。特殊用途ですね。
天日干しによる自然乾燥もできないこともないですが、水分が抜け切るのに半年以上もかかることもあります。
天日干しの場合はこのように板一枚、一枚の間に桟という細い木を入れて乾燥しやすいように隙間をあけて積んでいきます。
プレーナーで最終仕上げ、製品へ
乾燥させた木材はプレーナーというカンナの大型版みたいな機械にかけられ、表面をきれいにするとともに所定の寸法に整えられます。
これはかなり小型のプレーナーだと思います。プレーナー加工は木くずがかなり発生するので大型の集塵機も必須です。
広葉樹も加工
こちらは広葉樹の原木をスライスして乾燥させているところですね。乾燥後これも製品に加工されます。
広葉樹はスギなどの針葉樹と違って重くて硬く加工しにくいのですが、独特の美しい木肌と硬くて傷がつきにくい特徴からフローリング材(床材)などとして重宝されますね。岩手の南部栗などが代表です。
広葉樹のタモの半製品。フローリングの標準厚が15mmですので105×20mmという断面サイズを見るとここから、このあとカンナがかけられフローリング材に加工されると思います。
広葉樹はスギのようにシュッとまっすぐ生えるわけではないので長い材がとりにくいですね。6尺(180㎝)くらいのものが限界ですね。
製品例ですね。左はログハウス調のスギの内装材。壁に用います。右も恐らく羽目板という壁用の内装材ですね。こちらもスギです。色が違いますが赤い方は赤身と言ってスギのより中心に近い部分の材ですね。右の白い方は白身です。
左は厚みからいってスギのフローリング材、右はスギの羽目板ですね。これらの製品は大工さんがはっていきやすいように実(さね)といわれる凹凸が側面に加工されます。
あと柱用の角材も最もポピュラーな製品です。
これら製材所で製造された製品は全国の建材商社や材木屋、建材屋に引き取られていきます。製材業者が営業をかける場合もあるでしょうし自身で市場に出品して売ることもあります。また建材商社の注文に応じて作る場合もあります。まあ後者が多いでしょうかね。
そして実際に施工する工務店さんや大工さんのもとへと流通されていきます。かなり多くの人の手をへて消費者へ届けられていきます。
木を用いた内装の例。
北東北ほぼ一周
東通村から見る恐山(時間があれば寄り道したかった)
この時の出張では新幹線で一関まで行きレンタカーを借りました。秋田の能代で1件仕事、津軽半島のなんとか町で1件、下北半島のさきっちょ東通村で1件、十和田で1件、太平洋岸に出て久慈で1件、三陸海岸沿いに南下して気仙沼近くで1件、そして内陸に入り栗駒で1件仕事、そして一関に戻るというなかなかのロングドライブでした。
私の人生で数少ない出張の思い出です。