岐阜かかみがはら航空宇宙博物館を見学した後は、内藤記念くすり博物館です。航空宇宙博物館から自転車で30分ほどの距離にあります。
各務原市の木曽川の中州、旧川島町エリアです。
エーザイの企業博物館
チョコラBBや胃腸薬サクロンなどでおなじみのエーザイ株式会社の創業家、内藤一族の名がついた博物館です。
エーザイは同族会社で現在の社長は内藤晴夫さん。製薬会社としては売上規模で武田、アステラス、第一三共、大塚についで国内第5位。
見学は無料です。
エーザイ関連では最近、米国でのアルツハイマー治療薬承認のニュースもありました。今後、注目ですね。
エントランス
乾燥させた薬草を臼で粉にするための江戸時代の装置。ハムスターのように中に人が入って回すようです。
白沢という古代中国の想像上の動物で、日本でも病魔よけとして信じられてきたそう。この顔、芸人の誰かに似ているんだなあ。
江戸後期にコレラが流行したときは、白沢の絵が売り出され、人々はこぞって身につけていたそうです。
アマビエみたいなものか。現代も江戸時代と似たようなことしてるんですね。
薬の歴史
薬の原料は古代から植物由来、動物由来、鉱物など様々。タツノオトシゴなんかも薬の原料なんですね。
奈良時代の薬草最終の模様を再現した絵。
健康への願いコーナー。
古代からの健康を祈願するグッズの数々。
経絡の場所を示した江戸時代の経絡人形。
いろいろな生薬の原料ですね。私も風邪の初期症状段階で、葛根湯を服用することがありありますが、葛根は文字通り葛の根っこ。
いろいろな薬の原料。セミの抜け殻も薬になるんですね。サイの角や象牙もあります。
薬販売の歴史コーナー
江戸時代の薬売り。
江戸から明治にかけての薬屋さん。
富山の薬売りは夏の間は農業やって、雪の積もる冬になると薬をもって各地をまわリました。
置き薬のシステムで客が使ったぶんだけ代金回収して補充して、また1年後に再訪します。売上回収は一年スパンです。
昔の薬の看板です。
森下仁丹の看板でしょうか。子供の頃、親父も仁丹をときどき口にしてました。乗り物酔いしそうなときに飲めと言われてもらった記憶があります。
昔は仁丹をポケットに忍ばせているオッサンが多かったですが、最近あまり目にしないですね。今はフリスクとかミンティアか?
太田胃散は今でもあリますね。子供の時、何回か飲まされたことがあります。
江戸初期の貝原益軒の養生訓。
企画展
企画展は日本人を苦しめた感染症と新型コロナウィルス感染症。
天然痘や麻しん、コレラ、結核、ペスト、スペイン風邪など解説しています。
天然痘は特に恐そうですね。高熱が出て体中にブツブツができて死に至ることも多く、感染力も強い。また、治癒しても容姿が醜く変わってしまい恐れられていたようです。
その他
大名家に伝わる薬箱。
エーザイ社史コーナー
エーザイの看板商品チョコラBBシリーズ。チョコラはチョコレートやコーラのようによく売れますようにと願いが込められた造語だそうです。
エーザイの製品群です。
薬草園および日々草について
博物館の前庭は薬草園となっており、たくさんの薬草や植物が植えられています。
今日、訪れてひとつ勉強になったのですが、夏の花壇でポピュラーな日々草は、とんでもない薬草というか毒草だったんですね。
毒性
ニチニチソウには、「ビンカアルカロイド」と総称される、10種以上のアルカロイドが、全草に含まれる。そのうち、ビンクリスチンとビンブラスチンには、細胞分裂阻害作用(チューブリン脱重合による)がある。抵抗剤として用いられるが、脱毛などの副作用・毒性があるので、素人の利用は危険。貪食すると、嘔吐や下痢程度では済まない。
症状 - 中枢神経刺激作用、心機能障害、痙攣、筋肉麻痺、嘔吐。
毒は薬にもなるということで、日々草は抗ガン剤の原料ともなっているそうです。ホームセンター勤務時代、78円で日々草の苗を大量に売っていましたが、そんなこと知らんかった。
ちょっと植物の見方が変わる。