まーきちのお気楽生活

正社員からバイト暮らしを選んだ旅好きなおじさんの日記

西村賢太著 苦役列車を読んで

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故人に氏をつけることは一般的ではないと思いますので呼び捨てでいきます。

 

西村賢太

 

先日、芥川賞作家で昨年54歳で急逝した西村賢太に関する記事をNHK WEB で目にしました。

 

“破滅の無頼派” 西村賢太が残したものは 玉袋筋太郎 尾崎世界観 田中慎弥が語る|NHK|NHK

 

その名前と芥川賞受賞作品の苦役列車のことは知っていましたが、作品を読んだこともなければ、テレビ出演しているところを拝見したこともありません。

 

でも何だか私と対極の存在のような気がして急に興味が湧き出て、彼の作品を読みたくなりました。

 

彼は芥川賞の受賞インタビューで「これで風俗に行ける」と答えたそうです。小説家として稼いだ金は、風俗と酒、煙草で消えていったとか。

 

どれも私はやらないです。

 

彼は私より少し年上ですが同世代です。昭和、平成、令和とほぼ同じ時代を生きてきて、彼がどんな人生を歩んだのか興味があります。


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ちょうど楽天KOBOの500円引きクーポンがあったので、苦役列車を39円で購入しました。

 

昔は本をたくさん読んでいましたが久しぶりです。電子書籍はほぼ初めてですが、スマホでもほぼ紙の本と同じような感覚で読めました。

 

最初なかなか読み進みませんでしたが、ちょっとずつ読んでページ数を稼ぎ、最後に飛行機の中で後半部分を一気に読んで、なんとか読了しました。

 

ダウンロードしておくと飛行機の中の暇つぶしに良いですね。

 

感想

 

私は小学校の頃から読書感想文を書くのが苦手でしたので大したことはかけません。

 

思ったことをそのまま書きます。

 

苦役列車は主人公の名前こそ違うものの、西村賢太自身の若い頃を書いた私小説ですが、なかなかのダメっぷりですね。

 

学歴は中卒、父親が性犯罪者というマイナス要素はありますが、10代後半ですでに酒、煙草、風俗に溺れ、そこまではいいですが、家賃は踏み倒そうとするわ、友人から借金もするし、親には金の無心、バイト先の先輩とケンカしてクビになるでダメダメ小僧です。

 

しかし妙にプライドは高く、そのせいか嫉妬心も強く見栄っ張りで、周囲からは扱いにくい存在です。

 

このあたりの若者特有のネガティブな心理描写を丁寧に書いているのが西村賢太の真骨頂でしょうか。

 

一度体験した女のアソコの臭いや、友人の彼女をおかずに自慰行為をする描写など、眉をひそめて読み飛ばしたくなるような箇所もあります。

 

好き嫌いは別にして、これも人間の一面ですね。人には言えないけど、そういう感情や認知がゼロかといったらそれはないと思います。

 

他の作品を読むかと言われると読まないような気がしますが、苦役列車を読んでこういう世界や考えもあるわなと思いました。

 

でも冷凍倉庫での日雇いバイトの描写はなかなかリアリティがあって良かったです。思い当たるところがありました。