寄生虫の権威 藤田紘一郎先生
日本の寄生虫学の第一人者とも言うべき、東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生が先日お亡くなりになりました。享年81歳。
今から約8年前、先生が73歳のときに先生の講演を生で聴く機会がありました。
非常にユーモアにあふれて、聴衆から笑いの絶えない講演でした。
先生は微生物や寄生虫と人間の共生をいつも訴えられていて、有名なエピソードですがキヨミちゃんというサナダムシを体内で大事に飼ってられたこともありました。
講演でもハリのある声で
「微生物パワー、寄生虫パワーで73歳ですがまだまだ元気ですよ! ワハハ」
とおっしゃっていました。
そのことが印象に残っていたので、100歳くらいまで微生物・寄生虫パワーで生きられるのかなと思っていました。
先生の訃報に接し、早くお亡くなりになられたのでビックリしました。
亡くなられた原因は誤嚥性肺炎だそうですね。
行き過ぎたキレイ好き
それはさておき先生は、現代の清潔至上主義とも言える社会に警鐘を鳴らしていた数少ない学者でした。
医学の主流からは外れていたことでしょう。
あんまり潔癖でない私は、潔癖の妻から
「家に帰ってきたら手を洗いなさい!」
「トイレに行ったら手を洗いなさい!」
と攻撃されると
「大丈夫! 潔癖すぎは良くないと藤田大先生が言っているから」
と先生の名前を借りて逃げていました。
(いちおうトイレに行ったら手は洗っています💦)
清潔すぎはアトピーの原因?
先生の功績か知りませんが最近では、幼少期にある程度は細菌などに触れておかないとアレルギーやアトピーの原因になるという説(※衛生仮説)が一般に認知されてきています。
※まだ議論はあるようです
悪さをする菌もありますが、身の回りにはその何万倍ともいう数の常在菌がいて悪玉菌の増殖を阻んでいるんですね。私たちの皮膚にも常在菌はいます。
しかし世の中は除菌をうたった商品がいかに多いことか。
菌を危険なものと消費者に思ってもらわないと商品を買ってくれませんからね。
テレビCMではバイ菌の危険性を訴えるために、子供でもわかるように菌がキャラクター化されています。
幼少期からバイ菌・雑菌=悪と植え付けられていくんですね。
お母さんたちもバイ菌対策に必死です。
そしてさらに今のコロナ禍ですからね。しかたがない部分はありますが、行き過ぎたキレイ好きはいろいろ問題があると思うんですよね。
私はアレルギーやアトピーといった実害もですが、心理的・精神的な害を危惧します。(個人の意見です)
強迫観念の原因
子供のころからアレは汚い、コレは汚いと事あるごとに注意され、手を洗え手を洗えと言われ続けると、常に不安にさいなまされるでしょう。
強迫観念の原因になりかねないのでは。
コロナ禍で特にその傾向が強まっているので心配です。
セックスレス化の進行
キレイ好きが強要される幼少期・子供時代を経て、いざ大人になったときに果たしてセックスが可能なのか?
汚いと教えられているアソコとアソコが交わるわけです。
一般的には公衆衛生が発達している国(先進国)ほど出生率が低い傾向にあるかと思います。
もちろん出生率には晩婚化や経済的な問題、子育てに対する社会のサポートの有無といった要因も絡んでくると思いますが、キレイ好きも実は隠れた大きな要因なのかも。
経済的問題だけなら経済的に恵まれていない発展途上国のほうが出生率は高いのは矛盾してきます。
よく言われる若年層の草食化も、元をただせば行き過ぎたキレイ好きから来ているのではないでしょうか。単に2次元で満足できるからではないような気がします。
行き過ぎたキレイ好きが国を滅亡させるような気がします。
都合の悪いものは除去~不寛容~
コロナ禍で世の中がギスギスしているかと思います。
「バイ菌やウィルスはなくなるべき」と同じで、社会にとって都合の悪い者にはムチャクチャ厳しい世の中になっているかも。
「マスク警察」や「自粛警察」もその一例かもしれません。
世の中、まあバイ菌以下の人もいるかもしれませんが、盗人にも三分の理ということわざもあるように、すべて白黒で片づけられるわけではありません。
藤田先生がおっしゃっている微生物・寄生虫との共存は、私たちが生きている社会そのものにもあてはまるかもしれません。
上手く言えませんが、そんなことを考えました。
寄生虫の展示がいっぱい
ちょっと胡散臭いところもあるので、多少疑いながら読んだ方がいいと思います。(笑)
先生なかなか商売上手ですね。