士幌線(しほろせん)は、日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線で、帯広から十勝平野を北上して上士幌町の十勝三股駅までを結び、営業距離は78.3kmありました。今から約32年前の1987年3月23日に全線が廃止されました。
私も当時時刻表や地図などを見て、士幌線が存在していたことは覚えています。当時は国鉄からJRへ民営化移行前でしたので廃止路線が多かったような記憶があります。
十勝の観光情報をいろいろネットで見ていて、このタウシュベツ橋梁の空撮VRに惹かれましたので士幌線跡に行ってみることにしました。
第3音更川橋梁
帯広から畑と牧草地が広がるだだっぴろい十勝平野をひたすら北上していきます。上士幌町の中心街を通過し、しばらくすると大雪の山地に入っていきます。
第3音更川橋梁跡はそんな場所にあります。ヒグマ出没注意の看板もありました。
もう線路も撤去された橋で上部は雑草が茂っています。いい味だしてますね。第3音更川橋梁は 鉄筋コンクリートアーチ橋としては、北海道一の大きさを誇る32mの美しい橋で、元小屋ダムの静かな湖面に影を落としています。(1936年建造/長さ71m/国指定登録有形文化財)
第三音更川橋梁|旧国鉄士幌線アーチ橋梁群|施設ガイド|北海道 上士幌町
こちらは国道273号線の橋から望むことができます。
旧糠平駅
国道沿いをさらに進むと音更川沿いに線路の遺構がありますが、駐車スペースがないのでパスします。糠平ダムも通過し、しばらく行くと鉄道資料館はこちらと矢印が出てきます。国道から外れわき道を下ると旧士幌線の資料をあつめた鉄道資料館が現れます。
上士幌町鉄道資料館(旧国鉄士幌線の資料展示、北海道遺産コンクリートアーチ橋梁群の案内業務)|資料館・美術館|施設ガイド|北海道 上士幌町
資料館のある場所は糠平駅跡になります。 なんか昭和の映画に出てきそうな風景です。
こちらの駅名看板はなんか新しそうです。
「列車は通りません」の踏切。通ったらコワいです。
ひがし大雪自然館
わっ!ヒグマ出没!? こちらはひがし大雪自然館です。鉄道資料館のすぐ近くです。
エゾシカのはく製です。
昆虫の標本が充実していて、なぜか世界の甲虫、蝶の標本もあります。他には魚の水槽や、岩石の標本、地質についてのパネル展示など思いのほか充実した施設できれいなトイレもあります。観光案内所も兼ねおり、入場は無料です。
ひがし大雪自然館公式サイト 大雪山国立公園ひがし大雪エリアの総合情報サイト
自然館の近くから糠平湖の湖面を望むことができますが、水が少ない・・・
三ノ沢橋梁(閲覧注意)
さらに2kmほど北上すると三ノ沢橋梁入り口です。
こちらにもヒグマ注意の看板が・・ 廃線跡探索も命がけですね。
手すりもついて一応整備されているようです。 前進します。
するとヒグマはいませんが、なにやら地面に怪しい物体が・・
あ、ここにも・・・
橋の上はヘビの巣窟になっていました。撤退です。
タウシュベツ橋梁
タウシュベツ橋梁展望台は糠平湖の北端に近い西岸にあります。展望台の入り口にやってきました。駐車スペースには車が止まっており先客がいるようです。これならヒグマの心配はないかとほっとします。
展望広場まで180m、うっそうとした森を進んでいきます。
苔むした巨大な倒木があります。
しばらくして線路跡のような場所を横切ります。
さらに進むとミズナラの巨木があらわれます。
タウシュベツ橋梁展望台にやってきました。
タウシュベツ橋梁は対岸にあります。スマホのカメラではここまでしか写すことができません。望遠レンズが必要です。
糠平駅跡や三ノ沢橋梁などこれまでの廃線跡は糠平湖西岸側にあるのになぜタウシュベツ橋梁は反対の東岸にあるかというと、タウシュベツが橋梁があった方がダム湖である糠平湖が誕生する前にもともとあった路線だそうです。糠平湖の誕生とともに線路が今のダム湖西岸につけかえれてました。
放置されたタウシュベツ橋梁は糠平湖の水位の増減と共に出現したり隠れたりして幻の橋と呼ばれています。しかもタウシュベツ橋梁は風化も激しくいつまで残っているかわからないそうですね。見るなら今のうちです。
ちなみにダム湖東岸のタウシュベツ橋梁に近い林道は通行にあたって事前に役所の許可が必要でしかもかなりの悪路だそうです。おまけにヒグマの巣窟だとか。
タウシュベツ川橋梁|旧国鉄士幌線アーチ橋梁群|施設ガイド|北海道 上士幌町
旧幌加駅
さらに北上を続け国道沿いの幌加除雪ステーションが旧幌加駅の近くになります。
こちらにも線路跡があります。
旧幌加駅跡|観光・レジャースポット|施設ガイド|北海道 上士幌町
終着駅 十勝三股駅跡
終着の十勝三股駅跡には三股山荘という一軒のカフェがあります。
その脇には駅標があります。
カフェ横のこの広場はきっと十勝三股駅にあった貯木場などの跡地なのでしょう。昔、三股地区は林業で賑わっていて2000人もの人が住んでいたそうですが、今はこのカフェも含めて2世帯らしいです。限界集落どころではないですね。国道は整備されて走りやすいですが、それでも上士幌町の中心街まで軽く車で1時間はかかると思います。冬は時に3m雪が積もるそうですからその生活は大変ですね。
せっかくなのでカフェで遅めの昼食をとります。
カフェは上品な60代くらいの女主人が切り盛りされていて、いろいろ三股の歴史や士幌線のことも教えてくれます。2000人の住人のうちの最後の数人の一人ですね。時間があれば当地での生活についてもっといろいろ話を聞いてみたいです。失礼ながら日本でも有数の不便なところかと思います。でもきっとそれ以上の何かがあるのでしょうね。
三国峠へ
カフェから車で約15分、北海道の国道の最高地点三国峠です。 絶景ポイントとして知られ秋の紅葉はとくに有名です。
士幌線はこの峠も越えて層雲峡を通り上川までつなぐ計画もあったそうですが、今は立派な国道もあるのであまり必要性は無いでしょうね。私たちも峠を最後に来た道を引き返します。