日刊工業新聞のニューススイッチでおもしろい記事を見つけました。
東京をはじめ都会では経済活動が貨幣に依存するのに対し、地方では貨幣だけではない、いろいろな経済活動が行われるという話です。
記事より一部引用します。
東京では仕事が終わらなければ当たり前のように残業するのに、地方では定時で帰ってしまうため、結局は社員を増やさなければ回らなかった、という内容です。実際、宮崎県に進出したIT企業に勤める社員も定時で帰宅するのが主流ですし、稲刈りの時期などは有給休暇を普通に取得することも全く珍しくありません。
沖縄県では聞いた話は、残業はおろか、そもそも始業時間に社員が出社をせず、無断遅刻や欠勤が多発し、結局、東京の社員を沖縄に派遣して業務をしているという笑えない事例も出てきます。
都会と田舎では仕事に対する温度差はあるかとおもいますが、田舎の人が仕事に対してルーズだという単純な話ではありません。
記事では経済活動を次の4つに分類しています。
・ 貨幣経済・・・・・貨幣を介して商品やサービスが提供される一般的にイメージされる経済。
・ 物々交換経済・・・農家と漁師が野菜と魚を交換するといった物々交換から生まれる経済。
・ 貸し借り経済・・・誰か大事な人を紹介してくれたとか、トラブルに遭遇したときに助けてくれたとか、「恩」に紐づく貸しと借りで成り立つ経済。世代を超えて家系で引き継がれていくこともあり、「彼のおじいさんには大変お世話になったから、彼にはなんでも協力しろ」みたいに100年単位で続くこともある。
・ 自給経済・・・自分の家で畑を持っていて作物ができるとか、家で味噌や醤油を作っているとか、物を購入しなくても自給でまかなえる経済
田舎ではいまでもコミュニティー内での濃密な人間関係から、物々交換経済、貸し借り経済、自給経済が盛んにおこなわれています。私の住んでいる場所はそこまで田舎ではありませんが、義父が畑を借りて野菜を育てていますので、よく野菜をただでもらいます。そのかわり定期的に病院へ送迎したりしています。
田舎ではえてしてコミュニティー内の人間関係や地域の行事や祭りなどが仕事より大事ということも普通に起こりうるかと思います。逆に都会のサラリーマンのように残業までしてノルマ達成のために働くと地域や親戚との人間関係の維持どころではなくなってきますので、頼れるのはお金だけになってきます。くわえて人間関係の醸成が苦手な人は仕事に逃げ込むことができるので、それが日本にモーレツサラリーマンが多い一因なのかもしれません。またそれを良しとする風潮も今まではあったかと思います。
リスクの分散という視点から考えると、記事にもあるように貨幣への依存が強まりすぎるといかがなものかと思います。都会に住んでいて現実的には他人に頼ることによるリスク分散は難しいですが、個人的には少なくとも身内とはいい関係を保とうと思います。