前から行ってみたかったヨドコウ迎賓館に行くため兵庫県の芦屋市にやってきました。
高級住宅地の芦屋市。私の住むポンコツ賃貸のようなショボい建物はありません。
ヨドコウ迎賓館
JR芦屋駅から歩いて15分、阪急芦屋川駅から10分、坂を登った高台にあるヨドコウ迎賓館です。
ヨドコウ迎賓館は、旧山邑家住宅(きゅうやまむらけじゅうたく)といい、灘の造り酒屋・櫻正宗の八代目当主山邑太左衛門の別邸としてアメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトが設計した住宅になります。国の重要文化財に指定されています。
その旧山邑邸を淀川製鋼所(ヨドコウ)が買い取り、ヨドコウ迎賓館として一般に公開しています。
公開は水、土、日だけで、ふだん土日はバイトの私はなかなか予定があいませんでした。
今回も水曜日の訪問になります。
平日ですが見学客が多く、たいへん賑わっていました。
マニアックな観光スポットかと思っていましたが、建築好きにとってはたまらない場所でしょうね。
外国人40人の団体さんも来ていました。
フランク・ロイド・ライトの日本に残されている建築物は4つ。
そのうちのひとつ、愛知県の明治村にある帝国ホテル中央玄関は見学したことがあります。
素晴らしい建築物です。
ヨドコウ迎賓館のいかにもライトらしい、直線基調の複雑な外観を見ただけでワクワクしてきますね。
1階エントランス
エントランスは小さめ。入場料は500円です。玄関で靴を脱いで下駄箱に預け、スリッパで見学します。
ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと共に近代建築の三大巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライト(1867ー1959)。
2019年に北米に残るフランク・ロイド・ライトの建築群が世界文化遺産に登録されるにあたっては、日本の4建築で唯一、ヨドコウ迎賓館が将来の追加登録候補のひとつに選ばれているそうです。
フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群 - Wikipedia
過去には取り壊してマンションにする計画もあったそうですから、保存されてよかったです。
日本家屋に比べるとゆったりとした階段です。
2階
斜面に建設された建物は4層になっています。
模型がありました。壮大な大邸宅ですね。船のようにも見えます。
2階の応接室です。
大きな窓から豊かな緑がよく見え1枚の絵画のようです。その上にも小さな窓が何個も開けられた贅沢な造りです。
反対側の窓も豊かな緑です。
外装も内装も明治村の帝国ホテルと同様、大谷石がふんだんに用いられアクセントになっています。
建物自体は鉄筋コンクリート造りだそうですから、コンクリートの柱に大谷石を貼り付けているんですね。凹凸がいい味を出しています。
応接室から南側の眺めです。
応接室の暖炉です。
3階
3階の3間つづきの和室です。ライトは和室を作るつもりはなかったそうですが、和室はオーナーの山邑氏のたっての希望だったそうです。
銅板の欄間がシブいですね。
コンクリート造のメーターモジュールに対して、尺モジュールの和室を入れ込むのはなかなか難しいですが、ライトに師事していた日本人建築家(名前忘れた)がそのあたりの設計を担当したそうです。
壁の厚みで対応しているらしいです。
トイレ(小)です。
トイレ(大)です。窓の意匠が素敵です。
タイル貼りのお風呂です。
3階西側の廊下です。
3階にある使用人の部屋です。
今は机が置かれていますが、もともと寝室でした。
4階
4階のダイニングキッチンです。天井に三角の小窓がたくさんついています。
中央が一番高くなった四角錐状の天井も凝ったつくりです。
一番高いところに生活の中心となるダイニングキッチンを設けるのはおもしろいですが、理由はその眺望の良さからでしょうね。
ダイニングキッチンからは、そのまま屋上テラスに出ることができます。
目の前の芦屋の町から大阪湾につづく眺め。なんとも贅沢。
遠くに芦屋シーサイドタウンのマンション群が見えますね。
六甲山側の住宅地です。
周辺環境と調和した素晴らしい建築物でした。一見の価値があります。
もし世界遺産になると喜ばしいことですが、そうなると国内外から観光客が殺到することが予想され、高級住宅地である芦屋の閑静な住環境を維持する点で課題があるようです。