この春、桜の通り抜けで造幣局を訪れました。
その時に、造幣局には一般公開されている造幣博物館があり、工場見学もできることを知りました。
見学も博物館も無料です。無料大好きなので行ってみることにしました。
受付~工場へと移動
造幣局と国立印刷局
造幣局は独立行政法人造幣局で大阪の本局のほか、埼玉と広島に支局があり、財務省の発注の元、硬貨の製造しています。
なお紙幣の印刷は東京にある国立印刷局で、日本銀行の発注のもとに行われます。硬貨と紙幣は、それぞれ発行元が国と日本銀行で異なるんですね。
受付
守衛さんに挨拶し、守衛室で予約番号と身分証明書を提示します。工場見学はネットまたは電話での事前予約が必要です。
見学スタートの15分前から受付開始です。
オリエンテーション
参加者みんなが揃ったところで、ミントショップ(貨幣セットなどを販売する造幣局のお土産屋さん)の2階にある部屋に移動し、ガイドさんから見学に当たっての注意事項の説明があります。
そのあと、造幣局の概要についての7分ほどビデオを見ます。
その後、ガイドさんとまわる工場見学が45分ほどあり、その後は自由に造幣博物館を見学して自由解散となるとのことでした。
こちらは先に頂けるお土産のクリアファイルとメモ帳です。クリアファイルの中には造幣局の解説パンフレットが入っていました。
工場へと移動
ガイドさんに連れられて工場へと移動します。
ド平日の朝10時スタートの枠でしたが、見学者は私を含めて10人。時間帯ごとに定員が10人でしたので、定員ぴったりですね。私が3日ほど前に予約した時は、残り3名でした。
ガイドさんはザ・大阪のオ〇ちゃんで、嫌味が無い程度にトークがキレキレでした。造幣局というとお堅いイメージがありますが、そんなことはまったくありませんでした。
灯創業当時のガス灯
こちらは創業当時のガス灯です。夜9時まで行われる桜の通り抜けでは、今でも実際に灯るそうです。
旧正門内にある左右一対のガス燈は、創業当時の建物「金・銀貨幣工場」前に設置されたもので、昔の面影を残す貴重な遺物です。
薩摩藩主島津斉彬がガスの製造実験を行い、別邸の石燈籠にわが国初のガス燈を点燈(安政4年 1857年)したのが始まりで、造幣局では明治4年9月に点燈されました。
平成27年(2015年)に国の史跡に指定されました。
創業当時の正門
こちらは現在も残る創業当時の正門です。大川に面していますが、創業当時は川の水運で、材料の搬入、できあがった硬貨を輸送していたそうです。
こちらから工場の内部に入っていきます。
工場内部
工場は3階建て?4階建て?の建物です。そのワンフロアです。ここでは主に金属加工の工程を行っています。
ガラス越しでの見学となります。
原材料はロール板
広島支局製造の圧延された金属ロールが大阪へ運ばれ、ここで硬貨へ加工されていきます。
原材料の金属ロールが見えます。
まずは金属ロールからそれぞれの硬貨の大きさに合わせて打ち抜きます。このまだ模様のない硬貨の原形を、造幣局では「円形(えんぎょう)」と呼ぶそうです。
円形を打ち抜いたあとの端材は広島支局に送られてリサイクルされるそうです。
優れた金属加工技術
円形に硬貨の模様をつけますが、表裏、外周と一発のプレスで行われます。
500円玉の500の文字に小さな500の文字が浮かび上がる加工も一発のプレスなんですね。周囲のギザギザ加工も同時に行われます。
金型がすごいのか、こういう技術は日本は強いですね。
こちらが実際の金型です。
ギザ10の話
ちなみに硬貨の周囲にあるギザギザは、もともと製造当時に一番高価な硬貨につけられていたそうです。
10円玉のギザ10は当時10円が一番の高額硬貨だったというわけですね。納得。
50円玉は穴あき硬貨の中で最も高額だから、これもギザギザがついています。5円玉と区別がつくよう、目の見えない方のためにいろいろ工夫がされているそうです。
現在も使える硬貨は15種類あるらしい。
偽500円玉の話
最近、500円硬貨がリニューアルされたはずだけど、まだ新しいものは見ていないような気がする。
初代500円玉は韓国の500ウォン硬貨を加工した偽物が大量に出回り、1990年代に大きな問題となりました。
大きさがほぼ一緒で500ウォンのほうが0.7g重いだけで、ちょっとドリルで加工したりすると、自動販売機は簡単に500円玉と認識したそうです。
500ウォンは50円の価値しかなく、簡単に450円をゲットすることができました。
韓国の500ウォン硬貨は500円硬貨の1年後に発行されたそうで、日本にとってはまったく迷惑な話です。
この件があって造幣局はおなじみの2代目の500円玉を開発・製造、銀行などに保管されていた初代500円玉はすべて回収したそうです。ただ個人までは回収できないので、現在も少しだけ市中に残っているそうです。
できたてホヤホヤの新500円玉です。
数があわないと一大事
工場内は人の姿は少なめです。
ちなみに製造される硬貨の数はすべて数えられて、1枚でも合わないと見つかるまで探すそうです。
従業員は工場内に自分のお金を持ち込むことは禁止、ユニフォームにも金属素材は使われていません。入退場時には金属探知機による検査があるそうです。
こちらは別フロアのできあがった硬貨を袋に封入するラインです。産業ロボットが活躍しています。
硬貨を入れる袋です。500円玉は1袋で100万円分、100円玉は1袋で40万円分になるそうです。一番重いのは100円玉で、1袋19㎏になるそうです。
袋詰めされた硬貨はすべて近くの日本銀行大阪支店に運ばれるそうです。そこで振り分けられて、各地の日本銀行や民間銀行に輸送されます。
造幣博物館
工場見学のあとは造幣博物館に移動しました。ここでガイドさんはお別れして、あとは自由見学です。
天正菱大判
ガイドさんが言っていた時価1億円以上の天正菱大判。豊臣秀吉が京都の金工師、後藤祐徳に作らせたもの。世界に6枚しかなく、造幣博物館にあるものはそのうちの1枚。本物です。
昔の価値のある貨幣が並びます。
大きな星はー千万円、中くらいの星は五百万円、小さな星は百万円だそうです。四千万や五千万の価値のある大判です。
日本の記念貨幣
造幣局では記念貨幣も製造しています。
海外の貨幣の製造も請け負っています。
私が生まれた年の貨幣セット。造幣局は毎年、その年に作られた貨幣をセットして販売しています。
ここ数年1円玉はこの貨幣セットのためだけしか作られていないそうです。キャッシュレスが浸透してきて、使用量が減っているそうです。
こちらは地方自治体施行60周年記念硬貨。各県ごとに異なるデザインです。
高知県のものが坂本龍馬の肖像があり一番人気で、発行当時よりだいぶ値上がりしているらしい。
新500円硬貨の打ち初め式にやってきた、ご満悦の当時の財務大臣。
東京オリンピックのメダル
東京オリンピックの金銀銅メダルも造幣局の製造。本物。
国民栄誉賞
国民栄誉賞の盾も造幣局の製造。
勲章関係も造幣局が作っていますが、写真撮影禁止でした。造幣局内で写真撮影禁止はこれくらい。
金塊にタッチ
本物の金塊と銀塊がありました。金塊はこの日の金価格で1億3376万円分です。重さにして約15㎏。
ケースに開けられた穴から金塊に触ることができます。
無料にしては見どころの多い造幣局の工場見学と造幣博物館でした。